7/27 UNIDOTS 幼生-larva-ツアーファイナル

UNIDOTSの、幼生-larva-ツアーファイナル、渋谷www公演に行った。

 


同じ場所で3/3に行われた、孵化と題された公演。

そこで発表されたのがこのツアーである。

公演、ツアータイトルから見て取れるように、これらの演目に注がれる情熱や込められた意味はとても強いものであろう。

 


まずは、私とUNIDOTSの関係性について説明する。

私は、UNIDOTSの始まりからここまで、歩みを共にさせてもらっている。というと、何だか仰々しいが2015年の、本人曰くまだ何者でもなかった時からライブに通っている。

もっと遡ると2013年初頭、今の音楽シーンをフォロー出来ていないのでは?との思いからYouTubeを漁り、イツエというバンドに出会ったのが全ての始まりだ。

言葉は嘘をつく、という曲の静と動の騒めきに瞬時に惚れ込んだ。

すぐに色々と調べ、ちょうどそのタイミングで渋谷O-crestでのワンマン公演がある事を知り、即決で購入した。

そこからは、東京での、彼らがメインを張る公演には全て通った。

 


今なお進化を続ける瑞葵氏の歌は、当時から目を見張るものがあった。

私はライブで音楽を聴く際には、全身で受け止め全霊で返すこと、を信条にしている。

これについては話し始めると訳が分からなくなるので割愛するが、要は所狭しと全身でリズムを取りながら楽しんでいる。

確か下北沢でのライブでのことだったと思う。

いつも通りにライブを楽しんでいたところ、瑞葵氏の高音に対して背筋が伸びてしまう瞬間が多数あった。

バンド全体の演奏に対して飲まれそうになることはよくあるのだが、ボーカリストの声のみに気圧される経験は初めてだったので強い衝撃を受けた。

 


彼女の歌声の良さは、冷たくも暖かいところだ。これはとても感覚的な話。

技術的な面は詳しくないが、個人的には伸ばす音と切る音の使い分け、メリハリが素晴らしく感じる。

これからもどんどん上手くなられるのだろう。いつまでも魅せられていたい。

 

 

 

とても長くなってしまった。

ここからは、今回のライブの話。

まずはsignsという曲の聴こえ方が前回と全く違った。

これこそが正に今のUNIDOTSの真骨頂だと思うのだが、ライブでの曲の変遷、洗練されていく様を楽しめる。

バスルームリフレクションも細かいアレンジが利いていたし、かえるの子のバンドサウンドはこれぞUNIDOTSだな、と思わされた。

個人的に震えたのは、裏街道ハイウェイだ。

この曲は数少ない音源を聴ける曲なのだが、曲の持つ雰囲気や音の勢いが、音源を凌駕する演奏に仕上げられていた。

 


全体を通して、前回と印象が全く違っていた。

というのは、孵化公演ではそれこそ瑞葵氏の歌声の神聖性という部分が強く感じられた。

今回は打って変わって、冷たくも暖かい、の暖の部分に包まれるような感覚があった。

もっと言うと、強固になったバンドサウンドが瑞葵氏の歌声と(もちろん歌声もバンドサウンドに内包されるが)非常に面白い化学反応を起こしていた。

厚みが本当に増していて、音のうねり、ダイナミズムが凄まじく、まさにコミュニケーションを取るようなイメージでライブを楽しむことが出来た。

また、失礼な言い方かも知れないが、前回公演に比べてとてもリラックスした様子が感じられた。

 


とても嬉しかったのは、アンコール時のMCで同じような話をしていたことだ。

オーディエンス一人ひとりと対話をするような感覚で歌っていたとのこと。こういう感覚が演者と合致するのは、純粋に嬉しい。

また、睡眠という曲を2人で演奏した後、サポートメンバーを招き入れる際。

自分達の事を、バンドだと名乗っていたと思う。

UNIDOTSのライブに行く際、常に共に通っている人とも確認したのだが、そういった紹介をしていたのは初めてではないか。

私は、今のバンド編成がとても好きだ。

Uさんの落ち着きながらも曲の鼓動を確かに刻むドラム。

木下哲さんの、回を追う毎に音と動き共に増していく存在感。細やかさと衝動性のアンサンブルが大好きだ。

オリジナルメンバーだが、コンノツグヒト氏の曲のボトムを支えながらしっかりと前面で映えさせるフレージングもピンズドの好みだ。

 


UNIDOTSのワンマン公演は、毎度凄みを増していく。

特に今回見せつけられた、暖かな包容力という側面の広がりは、更なる進化の予感を確信にさせるに十分すぎるものがあった。

 


終演後の話。

喫煙所にガタイのいい父親と、小学校中学年ほどの娘さんが入ってきた。余談だが私は、渋谷wwwの喫煙スペースがとても好きだ。

その時は、気合いの入った親父だな、ぐらいの思いだったのだが、その後の親子の会話が素晴らしくてな。

どうだった?との親父の問い掛けに、楽しかった、と娘さん。

この年頃でこの音楽を聴いて楽しいという感想!それだけでもう、次代の音楽を担ってくれ!とか仰々しい感動を覚えた。

親父はその後、

母さんもよくライブに行っているだろ?

お前もこれから、好きなバンドを見つけて色々なライブに行ったら良い。

という旨の事を煙草を燻らせながら語っていた。

娘さんは娘さんで、特に退屈そうにするでもなく、むしろ余韻を楽しんでいたのか親父が好きなのか好意的な雰囲気でその話を聞いていた。

その辺りで俺はもうニヤけるのを抑えられず、顔を背けていたのだけれども、ライブハウスに通っていてこういった情動を覚えるのは初めてでさ。

まさに世代を跨ぐ音楽!

そしてその主役がUNIDOTSだったわけじゃないですか。

こんな嬉しいことはない。

 


と、こんな具合に。

とても良い時間を過ごさせてもらった。

このユニットが、いや、このバンドが、もっと大きな舞台に立てるように。

いつまでも心震わす音楽を作って欲しいからこそどこまでも付いていこうと、決意を新たにした。

布教出来る人間にならないとなぁ。

 


と言うわけで、読んでくれてありがとうございました。

もしもこの文を読んでくれたあなたがUNIDOTSを知らない人だったら。

11/4のライブに行きましょう。自分なりにUNIDOTSという存在について、最大限に持ち上げる書き方をしたつもりだけど、こんなハードルは悠に越える素晴らしい演奏を見聞き出来るから。

 


最後になるが、

UNIDOTSが大輪の花を咲かせることを、俺は確信している。

UNIDOTSの音楽に共鳴するリスナーが、少しでも増えます様に。